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愛し愛されて生きるのさ<乱あSS>

2011年11月29日 08:13

プチオンリーイベントでフリー配付させて頂いた小説です(^_^)

乱あのパラレル?と思って頂ければv
実は当初このシナリオで漫画描こうと思ってセリフ打ち出してたものだったのだけど、
あまりに長くて「漫画無理ー!!!」となり小説に転換したというネタです。

あと、配付したのを改めて読んでみたら
最後の数行が甘くて砂吐きそうだったので(乙女すぎるという意味でwww)
若干変更しました(笑)

その他はそのままなので、未読の方に少しでもお楽しみいただければ(^_^)

ではでは続きからどうぞ~☆


スクリーンショット(2011-10-20 12.18.11)



愛し愛されて生きるのさ



許嫁になって一ヶ月。
あいつの視線の先に誰がいるかなんて…
見てればすぐにわかるっつーの…





全ての始まりはあの雨の日だった。

親父に連れて来られた先にいたのは『親の決めた許嫁』。

「長女かすみ、次女なびき、三女あかね。好きなのを選んでくれ。きみの許嫁だっ」

親父の古い友人だとかいうそのおじさんに紹介されたのは女三人で。

「あかねに決定ね」
「うん、ぴったし」

と、そこの長女かすみと次女なびきという名の女達が勝手に話を進めてて。
髪の長い三女あかねとやらが、おれを睨んでいかにも不服そーな顔をしてるのを、
黙ってればかわいいのになーなんて思いつつその場の空気を伺ってたら、

「………………うん、わかった」
「は!?」
「よろしくね、乱馬」
「マジ…かよ………」

さっきまでの不機嫌な顔はどこへやら。
思い切り笑顔でよろしくされて、おれは何も言えなくなったんだ。


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


昨日の雨とは打ってかわって良く晴れた翌日。
あかね達の通う学校へ転入する事になったおれは、
チラチラと横顔を伺いながらあかねと通学路を歩いていた。
その様子に気付いたあかねが「後で話すから」と、
そう言ったきり何も言葉を交わすことはなかった。


転校初日。
とにかく驚きっぱなしの一日だった。


「つまり、おれに虫よけになれと?」
「お願いっ!落ち着いたら許嫁解消するようにお父さん説得するからっ」
「……本当に説得してくれんだろーなー」
「約束するわ」
「んじゃ、仕方ねえ。今だけ我慢してやるよ」
「ありがとー!あんたって案外いいヤツね!」

後で話すーーーーーーーーーーーーーー

確かにそのほうが話の内容が飲み込めた。
あかねは相当モテるらしく、
あかねと闘って勝った奴が付き合う権利がどーのこーのとかで。
普通好きな女とは闘うもんじゃなくて守ってやるもんだろ、
とおれの常識は通用しない世界らしい。
そこら辺の一般男子より遥かに強いあかねにとって毎朝のこの勝負は
ウォーミングアップみたいなもんらしいが九能先輩とか言う剣道部主将がしつこいらしく、
そこでおれと許嫁ということを公表して諦めてもらいたいんだとか。
…おれが見る限り、そんなことで諦めるよーな感じの先輩じゃなかったが、
それでも「仕方ねーな。守ってやるか」なんて感情が少しだけ、
ホントに少しなんだけど湧いてきて。
たぶん、カッコつけたかったってのもあって引き受ける事にした。


その時はホントにそれが理由だと信じたから。


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



「きみ、乱馬くんだろ?あかねちゃんの許嫁なんだってね」
「……一応」

消毒薬の匂いが立ちこめる診察室。
九能先輩の木刀にかすった首の傷の治療にあかねに連れて来られた小乃接骨院。
たいした傷じゃねーっつーのに無理矢理連行されてきた。
東風先生とかいうこの先生、腕は確かだという評判だそうで。
物腰は柔らかくいかにも「いい先生」という雰囲気を纏っているが、
格闘なんかにおいては、かなりの腕だと感じる。
なんつーか…おれのカンなんだけどハズれてはいないだろう。

「あかねちゃんのこと、よろしくね。あの子本当にやさしいいい子なんだけど…いい子すぎて我慢ばかりでね」
「…………」
「甘え方を忘れちゃってるところがあるから…」
「随分とあかねのこと…見てるんだね、先生は」
「昔から…妹のように大事に想ってたからね……」
「………ふーん」

患者としてではなく、本当に妹のように思ってるような、そんな言い方。
『妹』だなんて線引きされてあかねは複雑じゃねーの?
恋愛ゴトに疎いおれだって…んなのわかるって。

接骨院からの帰り道。
オレンジ色の空はもうすぐ色を変えて夜を運んで来る。

「おめーさぁ、虫よけって嘘だろ」
「………!」
「本当の理由は東風先生なんだろ?」
「…………」

黙ってられる程大人じゃない。
『許嫁』なんておかしな関係をいつまでも続ける気も……ない。
だから、聞いた。本当のことを。

「言えよ。おれと許嫁になった理由」

歩みを止め俯くあかねの方は少しだけ震えてて。
図星をさされて戸惑ってるのがよくわかる。
このまま何も話さず誤摩化すかと思った。

「……………………………先生ね」
「私の気持ち、気付いてるの。だから、遠慮して……お姉ちゃんと付き合うの躊躇ってるの」
「だから………」

小さく呟いた声は夕日と一緒に沈み込むんじゃないかって。
そう錯覚するくらい………弱いものだった。


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


------------------あたしに許嫁が出来れば先生も遠慮しなくてすむでしょ?

眉を寄せたまま無理して笑うあかねの顔が頭から離れない。


昨日の接骨院からの帰り道。
『許嫁』になろうとした本当の理由。
そして、それを聞いても解消しなかったおれ。
何故だかそんなあかねを一人に出来なかったから。

「ふーん…まぁ親父たちもうるさいし、今は許嫁のままでいいんじゃねーの」

そう言ったおれに目を見開き心底驚いた顔をしてみせたあかね。
ありがと、と呟き口元だけ笑顔の横顔はおれより少し大人びて見えた。



それからは…
本当にいつも側にいて。
憎まれ口叩き合いながらも、どこに出掛けるのも一緒で。
そんな様子を見た周りの奴らは「ケンカする程仲が良い」と錯覚しているようだった。


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


いつのまにか隣にいるのが当たり前になってきた頃、
体育の授業で突き指したあかねと東風先生の所に向かっていた時のこと。
鈍いから突き指なんてすんだよ、と言えばうるさいわねっ!と
相変わらずの返しに苦笑いしつつも内心は赤く晴れた指が心配で。
素直に「大丈夫か?」と言えない自分に情けなねーな…なんて考えてたら、
あかねが急に足と止めておれに寄りかかってきた。

「………先生………とお姉ちゃんだ……乱馬ちょっとっ」
「うわっ、急に引っ張るなっ」

一瞬何が起こったのか理解できないのに、触れる体温にすげードキドキして。
少し遠くの接骨院の玄関先にいる東風先生とかすみさん二人の雰囲気を感じ取ったあかねは
見せつけるような、そんな感じでおれに抱きついてくる。

「あか…」
「ちゃんと腕回して…」
「なっ、おめー自分が何してるかわかっ…」
「お願いっ!…許嫁…なんだから…っ」
「ホント、バカだな。んな顔じゃ説得力ねーだろ…」

あかねの肩は少し震えてて、思わず強く抱きしめた。
思っていた以上に細いあかねの身体が一瞬強ばったのを感じたけれど離す気にはなれなくて。
前髪のスキマから先生とかすみさんの方を見ると、
おれたちに気付き『素』を取り戻した先生がかすみさんを接骨院の中へと促していた。

おれの背中を腫れてる指以外でぎゅっと握りしめるあかねの手が緩んでも、
しばらくその場で抱きしめ続けてた。


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


「………ほら、食えよ」
「ありが…と」

川面に反射した日差しが真夏とは違い優しいプリズムを生み出す。
今はその輝きが眩しく思える程、この場の空気が重い。
痛む指をどうするのか?と聞けば「もう痛くない」の一点張りで。
そのまま家に帰ろうとしたあかねを河原まで引っ張って来た。
途中のコンビニで買った肉まんをあかねに手渡すけれど口に運ぶことはない。

「んー!やっぱ、肉まんはホッカホカなのが美味いよなー」
「…………」
「おめーさぁ。無理しすぎだろー。少し力抜けば?」
「無理なんかしてないもん」

あーあ。
んな、眉を八の字に寄せて何を言っても無駄だっつーのに、
あかねは素直になろうとはしない。
自分は大丈夫だからと、突き指も心の傷も「痛い」とは絶対に言わないんだ。

「してるって」
「してない!」
「いや、してるね」
「し・て・な・いっ!!」
「ぶっ」
「何よ!?」
「やっと、あかねらしくなった」
「…っ!」
「そーやって鼻息荒くしてるほーが、似合ってんだからよ。…けど、まぁ、おれの前では弱音吐いたっていいんだぞ?」
「なによ、それ…」
「なっ?おれって優しーだろ?いい男すぎて惚れんなよ?」
「バッカじゃないのっ」

そう言い捨てて肉まんにかぶりつく、おれの許嫁はどっからどーみたって色気なんかないんだけど。

……目が離せないんだ。

「家帰ったら診てやるよ」
「何を?」
「指」
「いいわよ。自分でなんとかするから」
「おめーの不器用さで包帯なんか巻けっこないだろ」
「なによ!乱馬にだってそんな手当みたいなことできるわけないじゃないのっ」
「それが出来るんだなー。無駄に修行の旅に出てると思うなよ?ケガの手当なんて朝飯前だっつーの」
「へー………じゃあ、お手並み拝見といこうかしら」
「ほーお?生意気なこと言ってると優しくしてやらねーぞ」
「あんたがいつ優しいっていうのよ」

言葉とは裏腹にその顔は綻んでて。
もう、いつものあかねだ…とホッとする自分に戸惑いながら家へと歩いてく。
やつぱりこいつは鼻息荒くても…笑ってるほうがいい。



そして、こんな曖昧な関係がずっと続くと思ってたんだ。


『親が決めた許嫁』って絆が脆いものだとは知らずに。


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


「もう、いいよ、乱馬」
「へ?」
「許嫁…解消しよ?」
「な、なんだよ急に…」
「東風先生とお姉ちゃん…雰囲気変わったし。もう大丈夫だと思う」
「けど…」
「約束だったでしょ?…お父さんには私から伝えとくね」
「待てよ、あかね!そんな急がなくたって…」
「今までありがと。…許嫁があんたで良かった」
「……………」

あの河原で肉まんを食べた後から…なんとなくあかねの雰囲気が変わったような気がしてた。
こう…吹っ切れたような、そんなスッキリした顔する日が多かったから。
それは良い方向に向かってるんだな、と勝手に解釈してた。
そして、おれは最初の約束なんかとっくに頭になかったんだ。

放課後の屋上に呼び出されて。
急にそんなこと言われて。
頭ん中が真っ白になって、言葉が出て来なくて。

ものすごい勢いで『嫌だ』という感情が全身を流れる。

ああ、もうホント…今更だとかそんなの考えたくもねぇ。
背中向けたあかねに今言わないでどうする?
そんなことをぐるぐると真っ白い頭ん中で考えてたら、
あかねが学校の中へ続くドアへと歩き出すもんだから。
伸ばした手であかねの細い手首を掴まえた。
その反動で振り向くあかねと目が合う。

「勝手に決めんじゃねーよ…」
「……あたしの我侭に付き合わせてごめん。だから最初の約束通り…」
「じゃなくて!!最初の約束なんかどーでもいいんだよ!」
「…乱馬?」
「…人を惚れさせといて今更許嫁解消とか勝手すぎんだろ!」
「え……」
「あ……」

勢いで言い放った言葉は言い訳出来ない程ドストレートで。
そして、その言葉の威力はおれたちを身動き出来ないくらい固めるのには十分で。

どのくらい、その場でその格好で止まってただろう?
長く感じたけれど実際は一分くらいなのかもしれない。

「とにかく!おれの側にずっといればいいんだよっ!」
「っ!」
「……おめーは嫌なのかよ、おれと許嫁でいるの」
「……わかんない」
「わかんないって、おめー…」
「…だって!あたし、まだあんたのことどう思ってるか自分でもわかんなくって、でも、乱馬の側にいるのは心地いいから、それに甘えてちゃダメなんだって思って、それで許嫁やめなきゃって思ったからっ、いい加減な気持ちじゃまた迷惑かけちゃうしっ…!」
「バーカ。おれだけには迷惑かけたっていいんだよ」
「乱馬…」
「おれ、あかねを泣かせたりしない。守るから…絶対…」


「…………………………………」
「…………………………………」


「う…ん…努力…します」
「は!?なんだよ、努力って」
「えと…好きになる…努力?」
「マジかよ…その答え…ありえねー…」
「だって!」
「まぁ、あかねらしっつーか……」

真っ赤になってオロオロしてるあかねがめちゃめちゃかわいくって。
こんなあかねを誰にも見せたくねーって、そう思ったから。

掴まえてた手を引いて、その戸惑うくちびるに………………軽く軽く…………キスした。

「…っ!」
「あかねはおれのもんって………予約…………っ」
「なっ…………!!!!って、しておいて何照れてんのよっ、余計恥ずかしいじゃないっっ!」
「うっうっせーな!仕方ねーだろっ!!!勇気何百倍も使うんだからなっっ…!!!」
「まだ付き合ってないのに!!!」
「許嫁だろ!!!」
「乱馬なんか知らないっ!!!」
「かっわいくねー!!!」

こんなやりとりですら、お互いに照れまくってるんだから、
今までと違って見えるおれたちの関係が………すげー気分が良かったり。


「えー、えー!どーせ、かわいくないですよーっ!」
「ったく!!ホンット色気ねーな!少し黙ってろ!」
「…んっ!!!」


再びウルサイあかねの口を塞いだら、バチン!と叩かれた頬。
痛みなんて感じないくらい顔は熱いんだけど。

……甘い雰囲気に持ってくのはまだまだ恥ずかしーからさ。


「……いって…ちょっとは手加減しろっ…マジかわいくねー…」
「なんですってー!!」







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