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そして、廻る(初期乱あSS・第一話)

2012年04月24日 09:50

台所から聞こえるちょっと煩いくらいに響く食器のぶつかる音が
あかねらしいなって、そう頬が緩むおれがいる。

「あかね、あのさ」

台所の入り口からかけた声は、
流れる水の音でかき消されるようで。

おれはあかねの横に立ち直して改めて声をかけた。

「ん?どうしたの?」
「あのさ………皿洗ってるところ悪いんだけどっ………おめーに頼みがあってさ」
「なによ?」
「えーっと……世話になってる先輩に、その…お礼がしたいっつーか何かプレゼントでも…とか思ったんだけどよ」
「うん」

あかねの、こういう何気ない相づちがいいよな、と思いながら一気にその先を吐き出した。

「おれそういうのわかんなくて………おめーさえ良かったら……その、一緒に選んでくれないか」
「いいよ」
「へ?いいのか?おれと二人で買い物行くんだぞ?」
「いつものことじゃない。いいわよ?」

あかねに見えない位置でガッツポーズ。
思わず「よっしゃ!」と出そうになった声は慌てて飲み込んだ。
「改まっちゃってへんなの」とクスクス笑うあかねの顔見たら、ものすごく恥ずかしくなってきた。

「変でもなんでもねーよっ…!つか、貸せ。おれも手伝うぜ、皿洗い」

あかねの手からスポンジを奪って勢い良く蛇口を捻ったら、
撥ねた水しぶきで女になっちまってカッコつかなかったけど、
約束した土曜にワクワクしてるおれがいる。

あかねはいつものことだって言うが、
二人で予定立てて出掛けるのは初めてなんだぞ、と。
おれとあかねの意識の違いに拗ねたくもなるが、今は仕方ない。

親が決めた許嫁ってだけの関係で曖昧なおれたち、というかおれが出来る精一杯。

あかねの想いの先だって知ってるけれど、
おれだってあかねに向かうこの気持ちを止められないんだ。

台所の窓から差し込む夕日の色があかねの長い髪に色を添えてキラキラ輝く。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー側にいるくらい、いいだろ?あかね。

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